3.テニスの試合:足がつるときの対処法 原因は技術か、体力か?

技術が足りないと思い込んでいるプレーヤーがいる一方で、体力が足りないと
思い込んでいるプレーヤーもいます。こちらもストーリー形式で紹介していきます。

ストーリー: あなたは優勝候補
来週から、年に一度の重要な選手権が始まります。

あなたにとっては、この一年間は、選手権で勝つために練習してきたと言っても
過言ではありません。本当につらく、過酷な練習でした。ショット練習、
ポイント練習、走りこみ、筋トレ、ビデオ研究、…。あらゆる準備をしてきました。

努力量の裏付けという自信もありますし、これまでの練習試合での戦績も上々です。
今回の選手権では、あなたの名前は優勝候補の一角に上がっているくらいです。
実際のところ、ベスト4くらいに入っても誰も驚かないでしょう。
でも、目標はベスト4なんかではありません。もちろん優勝です。

試合当日、一回戦。相手のサービスから試合が始まりました。
対戦相手は無名選手で、ランキングを見る限りあなたが勝つ可能性は限りなく
高いように見えました。だからこそ相手は、「当たって砕けろ」の気持ちで、
思いっきり当たって来ます。これまでのところ、なかなか力のあるストロークを
打って来ています。

「思ったより手ごわいな」あなたは思いました。第1セットの第1ゲームを
簡単に取られ、こちらがサービスの第2ゲームはデュースに持ち込まれたものの
どうにかキープ。第3ゲームもラブゲームで取られました。立ちあがりは、完全に、
相手が試合を支配しています。ゲームカウント1-2で迎えたあなたのサービス
ゲーム。ここで、驚いたことに、まだ第4ゲームだというのに、足がつって
しまったのです。まだ、試合が始まってものの15分だというのにです。

「このサービスゲームは絶対にキープしないといけない」。でも、思いきり
サーブを打ったり、走ったりすると、つった足の状態が取り返しのつかない
状態になってしまいそうです。ここは、ごまかしながらプレーをするしか
ありません。

予想もしなかった足のトラブル。相手のランキングからは想像できなかった
パワフルなテニス。そして今、試合に負けそうになっているという事実。
そして、あなたの選手権は終わりました。一回戦敗退です。
「終わってしまったものは、仕方がない。でも、また来年があるさ。
この試合の反省をしっかりとして、また来年につなげよう!」いつまでも、
ふさぎこまないところが、あなたの良いところです。

「今回の選手権での負けたのは、何といっても足がつったからだな。
あれさえなければ、サーブで相手を崩せたはずだし、しっかりとボールへ
入り込んで、パワフルなラリーもできたはずだ。それができれば、相手も
あれほど調子に乗れずに、試合の流れはこっちに来ていたはずだ。

そうだ、足だ。来年の選手権では、絶対に足をつらないようにもっと筋トレを
取り入れよう!」

さて、よく考えてみてください。これまで、あなたは、一年間を通して、
どんなに暑い日でも一日何時間も練習を続けてきたのです。そして、振り回し、
走りこみ、筋トレなど、試合とは比べ物にならないほど足に負荷をかけた
トレーニングを行ってきたはずです。でも、練習中に足をつったことが何回
あったのでしょうか?

ストーリーからは、そのような不安要素は一切読み取れません。問題は足では
ありません。「この選手権で優勝したい」という強烈な思いが、あなたの足に
変調をもたらしたのです。つまり、足がつった原因は『心』にあったのです。

目の前のポイントではなく、目の前の試合でもなく、遠い先の「選手権優勝」に
心を奪われた結果、あなたは目の前の試合に対する集中力を欠いていたのです。
一方、対戦相手はどうでしょうか?対戦相手から見たあなたは優勝候補なの
ですから、死に物狂いで戦うしかありません。一方が集中を欠き、もう一方が
死に物狂いでプレーをしたときに起きるのが、いわゆる「番狂わせ」です。

このような理由で、あなたはゲーム序盤から劣勢に立たされたのです。
心の中では「選手権優勝」を思い描いているのに、実際には一回戦で劣勢に
立たされている。これは、理想と現実の大きなギャップです。身体的には
どれだけつらい練習をしてきたとしても、このようなギャップに対処する
『心』の訓練はしていなかったのかも知れません。当然、緊張が極度に
高まります。そして、その結果として足がつったのです。

あなたには、足をつったという強烈な記憶があるかもしれません。しかし、
思い出してください。足がつったのは第4ゲームです。しかし、その前の
最初の3ゲームですでにあなたは劣勢に立たされていました。敗北の真の
原因は、起こるか起こらないか分からない「優勝」という遠い未来の妄想に
心を奪われ、目の前のポイントを取ることに対する集中力を欠いたこと。
そして、理想と現実にギャップがある場合に、緊張をコントロールする技術を
持っていなかったことです。
 
こんな思い込みに気がつかせてくれる、特別レッスンがあります。
くわしくは、コチラ。
打てない悩みに 「キレカツ!」(一般のテニスプレーヤー向け)
勝てない悩みに 「勝ちP」(競技者としてテニスをする人向け)
育たない悩みに 「Sチーム」(キャプテンや指導者向け)
ナショナルコーチと協力して電子書籍「ボールを打っていない時間の使い方」を出しました。頭を使ったテニスでうまくなり、強くなるためのノウハウがぎっしりです。

mtobita の紹介

「ライフコーチ」をしています。 これまでに ・留年スレスレ、数学の成績がクラス最下位だった芸能界志望の高校生の成績を、たったの6週間で平均点にアップした(しかも、ダンスや芸能活動を一切休むことなく) ・昨年の団体戦では1回戦負けだった高校のテニス部を、わずか2回の実地指導で、今年は4回戦進出にまで躍進した ・なわとびが跳べずに、学校のなわとび進級表にも丸印が1つもついていなかった小学1年生。ありとあらゆる練習方法を試してもダメだったのに、たったの30分で、22回跳べるようになった などの実例を作ってきました。このような「教育」の成果が注目され、国際学会での基調講演を勤める。国内では、勉強会、講演会の講師経験多数。「考える力」というストレートなテーマから、「本当にWin-Winなんてあるのか」、「子育てのための魔法の言葉」など、絞り込んだ聴衆向けのものまで。
カテゴリー: TOC思考法によるテニスの勝ち方, スポーツ   タグ: , , , , , ,   この投稿のパーマリンク

コメントは受け付けていません。