【概要】
制約理論(TOC)で用いられる思考ツールの1つ。主に、対立構造を明確にしたり、対立を解消したりするのに用いられる。対立とは自分の内部にあるジレンマであったり(内部対立)、自分と他者の間にある意見の不一致であったりする(外部対立)。実際に書くことで、論点が明確になり、思考が明晰になる効果がある。また、外部対立では、これを一緒に書くことで、コミュニケーションが円滑になる効果もある。
【歴史】
約30年前にゴールドラット博士自らにより開発された。「ザ・ゴール2」(思考プロセス)出版により広く知られることになった。「クラウド」という名称は、アルファベットで書けば Cloud、日本語で言えば「雲」である。対立状況にあるときの人の心のなかの「もやもや」を表現した名称である。対立を解消できたならば、もうそこには「もやもや」はない。つまり、「雲」は蒸発してしまったわけだ。そのような理由で、このツールの正式名称は Evaporating Cloud (蒸発する雲)と呼ばれるが、博士自身が短縮系である Cloudと呼んでいる。
日本では、思考プロセスの研修(通称ジョナコース)や、非営利団体「教育のためのTOC」のワークショップ等でこのツールの使い方を学ぶことができる。
【構造】
5つの箱と矢印から構成される。対立があっても見出すことができる「共通目標」、一方の立場と他方の立場それぞれの「要望」、一方の立場と他方の立場それぞれの「行動(手段)」の5つである。
通常、共通目標はA,要望はBとC,行動はDとD’と呼ばれる。DとEではなく、DとD’と呼ぶのは、この2つが対立していることを示している。D‘は「Dプライム」と読み、「プライム」は論理学でいう「逆」の意味である。
【作り方・壊し方】
興味がある方はご一報ください。
【参考】
全体最適の問題解決入門 岸良裕司著 (ダイヤモンド社)
教育のためのTOC日本支部ウェブサイト